生きている宝石
オープン前に店内の清掃をしていたときのことです。
貴金属をショーケース陳列していた店長が、ふらりとバックヤードへ消えたと思ったら、コップに水をくんで戻ってきました。さては昨日飲み過ぎて二日酔いの薬でも飲むのだろうかとぼんやりながめていたら、そのコップをそのままショーケースの中に並べているじゃないですか。いったい何をしているのでしょう。
「店長、ショーケースにコップなんて並べてどうするんですか?」
不思議に思って質問してみたところ、店長はニヤリと笑ってこう言いました。
「ふふふ、宝石にはね、生きているやつがいるんだよ。」
え?宝石が生きているって?ただの(ただのって言っちゃいけない高級な)石じゃないの?
「それらは生きているから呼吸もするんだよ。だから水も入れてあげるんだよ。」
なんだって!生きていて、呼吸までするんですか?そいつはかなりオカルトですね。もう掃除はあとまわ、店長の話に夢中です。
「生きている宝石なんてはじめて聞きました。それってどれですか?(ワクワク)」
「生きている宝石は5種類あるんだよ」
そういって店長が見せてくれた宝石たちはこちら
1.真珠
アコヤガイなどの貝類の生成される宝石。6月の誕生石で石言葉は石言葉は「健康・富・長寿・純潔」など。炭酸カルシウム成分でできていて、経年により変色やひび割れが発生する。汗に弱い。
2.珊瑚
深海に生息する刺胞動物門花虫綱に属する動物(サンゴ虫)が作る宝石。3月の誕生石で石言葉は「幸福・長寿・聡明・知恵」など。真珠と同じく主成分は炭酸カルシウム成分で、経年により変色やひび割れが発生する。汗に弱い。
3.琥珀(こはく)
樹木の樹脂が気が遠くなるような年月を経て化石化してできる宝石。黄色を帯びたあめ色のものが主で、なかには内部に昆虫や植物の葉が混入しているものもあります。熱、水、塩に弱いので風通しの良いところに保管してください。
4.象牙
ゾウの長大に発達した切歯(門歯)から削り出したもの。材質が美しく加工も容易なため古くから工芸品の素材として珍重されてきました。無機成分とコラーゲンでできているため、経年により変色やヒビ割れがおこります。
5.鼈甲(べっこう)
ウミガメ(タイマイ)の甲羅からとれる加工素材。半透明で、樹脂のような光沢があります。大半がタンパク質でできているため、経年によりヒビ割れや虫食いが発生する。
ってことで、これらはもともと鉱物ではないんですね。木材なんかと同じで加工したあとも呼吸しているのです。なので、保管する環境が悪いと割れてしまったり、変色してしまったりするそうです。
いやー、勉強になりました。
宝石もってないけど、将来のために覚えておこうっと。