モノ語りヒト語り

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観音様で待っていたカリモク60

桜の満開宣言が出た3月30日、小雨の降り続く中トラックは中央高速道路をひた走り。八王子から環央道に抜け青梅インターを下りて山道を走る。この辺の桜はまだ二分咲きかと思いきや、道の端の所々で残雪が見られる。約2時間走り続けて目的地「鳥居観音」の看板が見えてきた。この観音様が今日の目的地である。

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昭和後期にお買い求めになったカリモク応接セットを買ってもらえないか、とのお問い合わせがあったのは、2週間前位のことであった。

添付していただいた写真を拝見すると、そのスタイルはなかなか豪華なオモムキである。近くであればすぐ見せて頂いて査定をするのだが、なにせ埼玉県飯能市である。ネット検索で1時間40分と所要時間がすぐにわかるが、現実はその1.5倍位を見積もるのが現場スタッフというものだ。となると、果たして採算がとれる査定ができるのであろうか。悩みどころである。数回にわたってメールで情報の交換をし、査定でお伺いすることになったのである。

飯能に入るとナビゲーションなどもういらないほど案内看板があるので、迷うこともなく観音様に到着した。駐車場の先に社務所があって、そこから傘をもって出迎えに来ていただく。設置されていたのは社務所の応接室であろうか。頂いた写真で見た通りのどっしりとしたソファーセットである。

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「素晴らしく豪華なソファーですね」

「そう、まるで銀座のクラブにおいたらピッタリというものですね」と主(あるじ)。

お客様に言われてみると、まさにクラブのフロアに収まるために作られたような応接セットである。生地は黄金のゴブランで厚みの深い織りが高級感を醸し出している。30年近い時間を経てもなお、しっかりと作りこんだ家具は衰えを見せない。

ソファーの生地はややスレがあるものの、コイルスプリングは全くヘタっていない。耐久性や座り心地の店でこのクッションは群を抜いているが、なにせ高価になる欠点がある。だが、このソファーは「で、それがなにか・・・・」と言わんばかりに、贅沢にコイルスプリングを使っているのだ。
 
1962年(昭和37年)にカリモク家具があの質素で飽きのこない「Kチェア」を世に出した頃、こんな贅を尽くしたソファーも密かに?生産していたのである。

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今や「カリモク60」と称し、「Kチェア」のみならず、「ロビーチェア」(病院の待合室などで使われていた)などの人気は高く、今だにレプリカでも若い人の間で注目されている家具が生産されていた時代のものである。

どうですかこのもう一つの「カリモク60」。
新たに「クラブソファー」と命名してカリモクさんはレプリカ作りませんか?
是非、60代の方々にこの豪華なソファーを味わっていただきたいものですね。

(注 鳥居観音様のご了解を得て、お名前と写真を使わせて頂いております)

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