モノ語りヒト語り

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いんげんだもの

誰しも見たことがある小錦草という雑草はあっという間に生えてくる。この雑草には800もの種子があるらしい。来年になってから800もの小錦草をとるより、今とってしまいなさい。

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と、思わずオノレを振り返っしまうような味のある話をしてくださるお百姓のAさんに教わりながら10坪ほどの畑を借りて野菜作りをしてはや5年。百姓仕事は未だに進歩していないが、トマト、キャベツ、ジャガイモ、ししとう、ピーマン、モロヘイヤ、人参、おくら、トウモロコシ、紫蘇などを作ってきた。

それぞれの形はとても美しいとは言えないが、その新鮮さでは敵無しである。野菜をつくるのは楽しい。だが、木で棚をつくるよりずっと難しい。相手は生き物である。

ししとうの収穫が遅れ、真っ赤な唐辛子(風)になってしまったり、大根はどういうわけか下に伸びず、三方広がりになってしまったり、トマトは剪定を失敗して、数はなるものの大きくならなかったり、キャベツは青虫の住処になったり、と失敗の連続である。

思うように相手(野菜)はコチトラの努力に報いてくれないのだ。というより、コチトラに相手(野菜)の気持ちを汲み取る力が無いだけなのだが。

野菜づくりを指導してくれているAさんは百姓歴500年、スラリとした美人のお嬢様とお米だけではなく、野菜とブルーベリーを作っている他に、味噌作りの指導もしている。

いつも言われることは、「野菜を育てるには肥料を効かせるよりも足音を聞かせなさい!」である。まさに怠けていると、野菜は鏡のようにそれを映しだすのだ。

そんななか、不揃いながらぷりぷりインゲンが山とできた。ひとり感動するしかない。茹でて味噌和えで、てんぷらで、たらふく食べた。

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