シニアよりも若者に元気を
映画を観る時に1,800円は実に高い。(参考1)切符売り場でシニア1,000円という割引表示を見る度に、「早く年をとって映画をイッパイ観たい」と思ったものである。少し前は、60歳以上を証明する免許証などの提示を求められたが、今や顔パスで1,000円である。(最近1,100円に値上げされた)で、館内を見渡すとシニア割引のお客様が大勢を占めていることが多い。若い人と一緒に泣いたり笑ったりしたい、などというのは夢のような話である。
でもね、映画の観客数が高齢者によって支えられるってどうなの?映画はそれでも、人が入ればいいわけ?高齢者の方が時間も金も持っているらしいから、シニア割増にして若いお客をヤング割引にすればいいんじゃないの?と偏屈年寄りは考える。
月に一度か二度気まぐれにジムでカラダを動かしている。ジムで黙々トレーニングに励んでいるのは、いつ行っても私たち年寄り軍団!(土、日は違うかも知れない)
自転車こぎも、ベルトコンベア走りも、フィットネスも、髪はシルバーになったがもっと元気なりたい人ばかりである。よーく見渡すと、自分も含め平日の高齢者比率はおよそ85%!腰の曲がったおばあちゃんは、マットの上で腕だけのフィットネス。昼のワイドショーを見ながら自転車を漕いでいるおばあちゃん、時速3キロ、歩くより遅い。冷暖房完備の部屋でテレビを見ることができて、なおかつダイエットもできるということか。
時たま、コジャレたイタリアンレストランなどに入ってみれば、入るのをやめようか思うくらいに熟年おばさんパワーが満ち溢れている。(ランチ1,200円~2,000円)そういう時は静かに食事をすることは諦めなければならない。落ち着かないのは、ここにも若者と男性はほとんどいないということ。バランスが欠けている風景なのだ。今のワカモノはファーストフード、働く男はワンコイン弁当ということなのだろうか。
若い人たちが映画を観ない、ジムにも行かない、洒落たレストランにも行かないのは趣味嗜好の変化もあるのだろうが、恐らくゆとりのある消費をできない経済的な要因もあるのではないか。貧富の差は小泉首相時代の規制緩和からどんどん大きくなってきている。今の施策は、大企業優遇で格差を縮めるどころか、ますます拡大させていこうとしているようだ。もっとも影響を受けているのが若い人たちだ。
「お茶プレッソ」が人気で2万円台と安くないが値崩れもない。購入者の半数は50代以上だ。茶葉を粉末にひいて湯に溶かし、茶葉の栄養分をまるごと吸収できる点が健康志向のシニア層に受けている。(略)家電メーカーは軽量で高機能の掃除機などシニア向け家電を相次ぎ投入した。(日経新聞2014年9月8日号)(参考3)
最も若い人たちを貧しくして、お金のあるシニア層だけが健康やゆとりにお金を使える時代は本当に明るいのだろうか。(参考4)
「くらしのくら」も若い人というより、中高年のお客様にこの14年間支えられてきたわけで、外から見れば、全く同じような風景なのかもしれない。
若い人たちが、思わず手に取りたくなるような珍品も品揃えして、ほっと一息つける手助けを私たちもしていきたいものだ。
ワカモノよ、シニアに負けるな!
こんなモノも「くらしのくら」にはあるからね。
左・チームバルセロナ創設者のハンス・ガンペールと思われるフィギュリン(高さ9.5cm)
右・シュタイフ社の幸運のブタ(ラッキー・ピグレット)クローバーを離しません。
参考1:
先進国での映画鑑賞料金は500円から1,000円。インドでは平均300円、最安値30円で映画を観ることができるらしい。
参考2:
1年前と比べ悪くなったという回答は6月と比べ8ポイント増の31.5%となった。
(平成26年9月度日銀消費者調査)
参考3:
消費増税後に足踏みが続く消費を高齢者が下支えしている。(略)7月の消費支出を年齢別に見ると、世帯主が30~39歳の世帯は前年同月比10.4%減る一方、60~69才は2.7%減にとどまった。7月の雇用者数も64歳以下は減る一方、65歳以上は増えた。(略)高齢者と外国人を除いた消費は好転の兆しが乏しい。 (日本経済新聞2014年9月8日号)
参考4:
年収1,000万円以上 186万人 4% 14万人増加
年収200万円以下 1,120万人 24.1% 30万人増加
(ワーキングプアといわれる層。20代、60代では60%以上となり大半を占める)
(平成24年国税庁民間実態調査)