忘年会三夜
くらしのくらも人並みに忘年会なるものをやった。
一夜
まずは男組忘年会(六人)である。駒沢大学駅近くの「いせや」。この店の女主人は「くらしのくら」でのお買い物歴15年の長いお付き合いである。店で出されるお皿やお盆など「あ、見たことがある」と懐かしく手にとって眺めることになる。
ダイナミックで素朴な料理がなによりである。使い古された言葉だが「おふくろの味」がピッタリとくる。余計な設備や飾りも余計な愛想もなく、でも必要なものがしっかりと提供される、そんなお店だ。「いくら飲んでも値段は変わらないからね。飲んだ!飲んだ!」と相変わらず威勢のいい掛け声に、皆グイグイといってしまう。
なぜ男だけかって?全員都合の良い日を設定するのが極めて難しいので、それなら分けてやってしまおう、ということになったというわけである。女子会は新年会ということになった。
二夜
年末近くになって、14名全員の都合の調整に成功。店内に長さ4メートル強のテーブルをセッテイング、「最後の晩餐」風の長いテーブルを囲んでの宴会となった。
食事は目黒にあるレストランのケータリングサービスを利用。籐の篭などを使い、見せ方にも工夫があり、見栄えのある忘年会となった。準備も後片付けも自分たちでやらなければならないけれども、レストラン等で行うより、断然リーズナブルで周りを気にしないで楽しめる会となった。余った料理は独身族を中心にパック詰めでお持ち帰り出来るのも嬉しい。
(こういう時に限って写真を撮り忘れる。お品書きでご想像下さい)
三夜
元「リサイクルパワーセンター タウン」スタッフの忘年会をやるので参加しないかとのお誘いがあった。私はタウンで働いたことは無いが、その社長である服部さんに師事していた一人だったので、嬉しく馳せ参じた。
(関連記事:「自称ボヘミヤン逝く」 タウンの服部社長は10年前に亡くなり、「タウン」も今年春に店を閉じた)
場所はタウン近くのつきみ野駅そばの「月うさぎ」という小洒落たお店である。
当日はこのお店の定休日で、貸切りの忘年会である。オーナーともう一人のスタッフがお酒や料理を出してくれるのだが、その一人はこの店のお客さんで、臨時でお手伝いをしてくれているのだという。お客さんがカウンターに入っているのを見ると、昔のタウンを思い出す。タウンでは服部社長がお客さんをスカウトしてスタッフにしてしまうことがよくあった。「リサイクルはね、人間のリサイクルもやるんだよ」と言いながら・・・・
集まったのは15名。今はみんなそれぞれの城を持って活躍している。今も情報を交換して一緒に仕事をしている人もいるし、10年ぶりで会った人もいる。皆それなりに成熟!していたが、声も大きく、押出しが効く風体は変わらない。それに良く飲む。「くらしのくらスタッフ」の10倍はいく。
昔のタウンスタッフはオーバーに言えば「人間のるつぼ」と言っていいほどに様々な人生経験を味わい尽くした人間の集まりであった。扱っているモノもそうだが、スタッフの厚みのある魅力が人を惹きつけていた。サラリーマンを辞めた後の転身で迷っていた私は、タウンを訪れるたびに服部社長とそのスタッフの活躍する世界へと引きずり込まれていったのである。
この会を主催した横濱タイガーデン(古物市場)の木下会長は故服部社長の最も長い付き合いの同志であり、元タウン一族の主のような人である。
「いろいろ、面倒なこともあったけど、服部さんほど素晴らしい人はいなかった。亡くなっても、これだけの人を育てたんだから・・・」
八十を過ぎてもなお、タウンと故服部社長の心意気を引き継いでいるリサイクルの伝道師と弟子たちという趣きの会であった。
帰り際に、このお店のオーナーが皆に名刺を配った。私も名刺を差し出すと「え!このお店知ってるわ。ここに来たM社長からこの店のセールハガキを見せてもらったの。とても素敵なハガキだったので貰ってとってあるのよ」こんな遠い場所の小料理店でお店の話が出ようとは、驚きとしか言いようがない。
(このお店では一度として同じ料理が出たことは無い、というのも驚きであるが・・・・)
見てくださる人々の顔をいくつも思い浮かべながら、セールのハガキを作っていけるというのは幸せなことである。来年はキバッて案内ハガキを作ることにしょう。
いつもより寒い冬となりそうです。
みなさまお体にお気をつけて良いお年をお迎えください。