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たち吉で思う二、三の事柄

創業260年余りの陶磁器小売り大手の「たち吉」が、投資ファンドの支援で経営再建を図ることになったという。突然のニュースに驚く。新聞やテレビでは百貨店の陶磁器売り場の縮小や安い海外製品との競争、和食器市場の低迷などとその要因が解説されている。

京都四条通りにある「たち吉」のショールームは入り口からさりげない趣きがある。ビルまるごと和食器のディスプレイにあふれていて、時間をかけて楽しむことができる。地下一階は「アダムとイブ」「リッチフィールド」など若い世代向けの品物が展示され、階をあがる毎に高価な品々に巡りあえるシカケになっている。デパートの販売棚とは異なり、コーディネートが素晴らしく、生活の中での陶磁器が美術展示されたような雰囲気。どの家庭にも一つや二つあったに違いない和食器たちの長い歴史と普通手が届かないような作家物の食器にふれることができる。さすが、300年近い歴史がある陶器メーカーと感心したものである。

そんな歴史もあり、スケールもある老舗が苦しんでいるのを知ると、二次流通でそれらの商品を多数扱う私達もうかうかしていられない、と思わざるを得ない。

「たち吉」は憧れのブランドでもあり、自分で持つのも嬉しく、人にあげる喜びもあった痕跡を、リユースの世界ではある程度の年数を経て辿って行くことになる。

お買い取りの時に、日本の家庭では相当にたち吉ブランドが浸透していたことがよく分かる。贈答品のお買い取りで「たち吉」の食器が出ないことは無いと言って良い。しかも、「たち吉」の食器は箱で出てくるのである。中には包装紙に包まれたままで、引き出物や内祝いなどの贈答品として頂いたままの状態であることもある。家庭では実際に使われている場合よりも、体感的には「箱」で所有されている方が多いような気がする。

あまりに大量に出回ることで、自分が買うという動機がなかなか生まれてこなかったのではないか。どのお家にもある普及度の高さが次の展開のアダになったのかもしれない。

また、「たち吉」の食器には突出したランドマーク的なデザインが無かったのかもしれない。香蘭社でいえば、赤絵付けや瑠璃釉、深川青磁で言えば深川ブルーのグラデーション技法などひと目でわかる特徴がある。いずれも「たち吉」よりも遅い明治の創業ブランドであるが・・・・。

また、「たち吉」の食器には日本の伝統である五客揃いが多いことも、今の核家族時代にそぐわなくなってきたのかもしれない。贈答の品物としての体裁もあったのだろうが・・・。五という割れない数字に対する日本人の安定感覚(縁起感覚)も、すこしずつ変化していて、ヨーロッパの六客、アメリカの四客にもくみせず、日本は五客を捨てて二客がベースとなるのも間近かも知れない。

「たち吉」の経営再建のニュースが流れた夕方、NHKより「くらしのくら」へ取材があった。リユースの世界では「たち吉」はどのように扱われているか、とのこと。NHKの「ニュースウオッチ9」で2月20日(金)21時に放送された。

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(現在、たち吉のお品物は品薄になっておりますので、ご了承下さい)。

3月2日追記

3月1日岩谷堂車箪笥とマルニのチェストのお買い取りがあった。チェストに入っていた贈答品がこれである。

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「あーっ」とスタッフが静かに声をあげ顔を見合わせる。プレイバックpart2である。「ちょっと待ってPlay Back Play Back♪ この商品Play Back Play Back♪」と力いっぱい買い取りのアクセルを踏むことになった。

というわけで、こればかりではありますが「たち吉」のお品入荷しております。

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