モノ語りヒト語り

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裏切られる夢より儚い夢

秋のセールが終わった。東日本大震災後8ヶ月を経過しても、実際の被害がほとんど無かった首都圏では「何か気持ちが晴れない、明るくショッピングが楽しめない」という気分が未だに人々の心を覆っているように思う。どうすれば、買う側、売る側が一緒にウキウキしていけるのだろうか。先が見通せないタタカイである。

お店でささやかな打ち上げをやった。そんな時中学3年生(スタッフの長女)の子供の時の夢は「紫色のカバン、お金をいっぱい貯められるから・・・」という魔化不思議なものであった。漫画を描くのが得意な彼女の夢はてっきり「漫画家」とみんな思っていただけに、職業ではない物体の夢に驚いた。それからはスタッフの夢談義である。

「子供の頃の夢は、喫茶店のウエイトレス。だって、店にあったジュークボックスを毎日タダで使えるかと思って・・・毎日、歌謡曲が聞けたらこんな幸せはないと、本気で思ってた。その喫茶店、今も田舎にありますよ。ジュークボックスはないだろうけど」「今からでも夢、叶えられるね」「警察官。何かカッコいいじゃあないですか」「スタントマン。ジャッキーチェンの映画に出るためには一番いいんじゃないかな、と思ってたんで」「保育園の先生が大好きで、保母さん一筋」「別に無かったかな、そう、そう、お嫁さん。昔のお嫁さんは本当に憧れだったもん」「考古学者。研究室にいる人でなく、移植ベラで土を掘り起こしていろんなものを発見していく人。アルバイトでもいいから一度やってみたかった」と実に様々である。生まれ育った環境が何かしら反映しているような気がする。何一つ共通の夢はなく、もちろん何一つ実現していない。あ、「お嫁さん」だけは、実現したことになるが・・・

こんなバラバラな夢と人生を歩んできたスタッフが今は、共通の目標を持って仕事に励んでいる。それだけでこの店に「夢」はあるというものだ。感して謝する以外ない。 ところで、私の夢は「バスの運転手」であった。小学生の時に、バス通学をしていた私はあの大きなシフトレバーを切り替えながらスピードを上げていく運転手に憧れたものだ。「店長、今もマニュアルでワゴン運転しているから、夢は少し叶ったわけですね」

夢は「はかないもの」だけれど、思い返すのは楽しい。だが、約束を「はかない夢」にされるのはかなわい。 7年前、年金法を改正した際に政府は「これで100年は安心です」と私たちに約束したが、今やシレッと、前担当副大臣が「公的年金は既に破綻しています」とテレビで宣(のたま)う時代である。年金はいつ貰えるかも、いくら負担するのかも分からない「悪夢」となった。

子供たちが願う夢を、笑って聞いてあげられる時代は終わったのだろうか。

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