超温暖期の求職
「超氷河期の大卒内定率」と、大新聞に「超」がつくとは驚きだが、その報道ぶりにも「超」驚く。
まず、大卒の内定率が68.8%などと騒いでいることが異様である。そんなデータはほかの国ではまずないだろうし、必要とされない。大学は就職のための最終ステップと、誰も疑わない国は殆ど無いと思う。
また、この「就職できない」根拠となる数字は「大企業に就職できない」と言い換えるべきなのだ。データの根拠を曖昧にして「超氷河期」などとあおるのは、ますます世の中を暗くしていくだけではないか。その責任は大きい。
当社もネット関連事業を拡大していくために、先日求人広告を打った。5、6年前とは様変わりで、応募者が多い上に、おしなべて専門経験などの質が高い。買い手市場、言い換えれば深刻な不景気ということであろうか。
愕然とするのはその履歴である。「事業縮小」「撤退」「廃業」「閉店」「合併に伴う縮小」という言葉が求職者のどの職歴にも並ぶ。「30歳を過ぎると中々面接もしてもらえない」という35歳男性の職歴は「事業縮小」による退社(3社)である。職を失った社会人の現状は想像以上に厳しいことが分かる。面接を続けていくうちに、「全員採用!」と声を上げたくなる。
それに比べれば新卒者の「超」氷河期など、どうということはない。1,000人以上の大企業の求人倍率は0.57倍とかなり厳しい状況だが、1,000人未満の中小企業の求人倍率は2.16倍。300人未満の企業では4.41倍(リクルート調べ)。現実は売り手市場なのである。中小企業は人手不足のために業績を上げることが出来ないでいる、というのは言い過ぎであろうか。
にもかかわらず、新卒者は大企業しか考えておらず、大新聞も「超氷河期」と騒いでいるだけなのだ。なぜ中小企業を選ばないか、という問いに「大企業はつぶれないじゃないですか」などとうそぶいて、就職先が決まらない新卒諸君に同情する気になれない。無駄になる履歴書を何百枚と書くパワーがあるのなら、中小企業の仕事の内容や、将来性を少しお調べになったらいかがか。
最も問題なのは新卒の諸君よりも、家族を抱えてニッチもサッチもいかない求職中の社会人だと思う。
「超」氷河期に直面している新卒の諸君、日本を支えているのは有名な大企業でもありますが、およそ70%の雇用者が働く中小企業が大きな土台になっていることをお忘れなく!
当社のような10人未満の「超」零細企業も人材募集をしておりまっせ。