モノ語りヒト語り

「モノ語りヒト語り」一覧へ

ひとりぽっちの散歩

今は桜の花びらが店に入ってきて「花筵」状態である。桜が咲く頃から、お散歩帰りにふらりと立ち寄られるお客様が多い。何せ、どの駅からも歩いても18分という不便なロケーションに「くらしのくら」はある。「散歩がてら」でなくとも、どのお客様も相当「散歩」をしてのご来店なのである。

私は散歩をするというよりトレーニングとしての歩数を稼がなければならない。鍼灸治療でだいぶ良くなったが、腰痛は簡単に治らない。エレベーターの利用は避け、駐車場は空いている遠方に停めたりして、歩く努力をしているいる。「優雅ではない散歩」には、思いがけない発見が多い。

まず、「夜の散歩」は落ち着かないことが分かった。犬と一緒に歩いている時には、見ず知らずの人とも路上で立ち止まって話をすることもあったのだが、一人の夜散歩には、とても違和感があるのだ。帰宅途中のサラリーマンには見えない男が、静かな住宅街をぶらりぶらりと、夜遅く歩いていると、すれ違う人の目線は警戒モードである。犬が脇にいるかいないかで相当違う。女性の後ろを歩く時は、当の女性より緊張せざるをえないのだ。男のブラブラ歩きは昼に限る!

また、「デパートの階段散歩」は有酸素運動のチャンス!モノの売れ行き傾向などを知るために、デパートへ偵察に行く時である。ほとんどのフロアが当店の商品の原産地ともいえるのだから、偵察エリアは巨大でも飽きない。そこで分かった階段の秘密!デパートの階段は奥に追いやられているということ、案内も少なく、どこにあるのが探すのも大変であるということ。その上、もはや誰もいない裏街道になっているということである。フロアがどんなに賑わっていても、階段には誰もいない。別世界のように、静か。新品同様のきれいな床。子供が「じゃんけん」しながら階段を上り下りしている、などというのは「今は昔」である。

この数週間ですれ違った人は70過ぎのおばあちゃん一人であった。「こんにちは」とお声掛けした。見ず知らずながら恐らく「同志!」である。(あるデパートでは、利用者が絶滅したからだろうか、階段の踊り場が「荷捌き所」と「倉庫」になっていた)

デパートの帰り、二子玉川の駅でホームまで階段を歩いた。階段を上る乗客は一人であった。渋谷駅であれば、エスカレーターに乗りきれない人などが階段を利用するだろうが、選ぶゆとりがあれば、人はエスカレータにするのだ。通行人の少ない階段は実に広くて気持ちいいのだけれど・・・・・ 恐らく「天の邪鬼」か、「無駄なトレーニングをしている老人」と思われているのだろうなあ。よし、今度は一段飛ばしで上がってみるか。

「モノ語りヒト語り」一覧へ

お気軽に
ご相談ください

くらしのくらや買取に関して皆様よりいただく質問をQ&A形式でご紹介しています。

よくあるご質問

小さなことでも
遠慮なくご連絡ください