モノ語りヒト語り

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執事のテーブル

買取り依頼は殆どが電話だが、次第にインターネットを通じての依頼が増えてきている。電話よりそっけないが、画像で事前のおおよその査定が出来るなどお互いのメリットも多い。

イギリスで購入したという「バトラーズ・テーブル」の買取り依頼があった。イギリスのアンティークショップで£280.00(ポンド)、リプロダクション物という。はて、バトラーズというのは扱ったことがない。日本では殆ど流通していないようである。

写真を送ってもらうと、しゃれたデザインでとても立派にみえる。もしかすると二人用のダイニングテーブルなのかもしれない、と勝手に思い込む。

さて、当日お伺いして部屋の片隅におかれた「バトラーズ・テーブル」をみて、私たちスタッフは思わず声を上げた。

「え?ちっちゃーい!!」

寸法も書いてあれば写真もあるのだから、そんな声を上げるのはプロとは言えないのだが、その小ぶりな可愛さは想像以上であったということである。

「送っていただいた写真、うまいですね。とても良く撮れているので、もっと大きいものかと思いましたよ」と、本音ではあるが弁解をする。若い奥様は嬉しそうである。

バトラーズ・テーブル。直訳すると召使(執事)のテーブル、または食器室テーブルとなるのだろうか。天板はフレームから取り外しでき、四隅を立てると取っ手になりトレーとして使うことが出来る。召使が食堂に運ぶ前に食器室(台所と食堂の中間にある)で料理を並べ、そのまま天板をトレーとして食堂に運んだものらしい。貴族が主に使ったものなのであろう。

庶民が使うシロモノではなかったのである。知らなかったのは当然か。家具の奥の深さに感服である。

20080525-1

20080525-2

注1.天板サイズ 開いた状態:88×64㎝の楕円、閉じた状態:65×50㎝の長方形
注2.この写真は筆者が撮影したもので、残念ながらお客様に送っていただいた写真とは比べ物にならない。
注3.景山民夫の「ティンカーベル・メモリー」に「バトラーズ・テーブル」が重要な小道具として出てくるらしい。

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