お買い取りしたライカは悩ましい
私たちは「招請訪問」と言って、お客様から自宅へ来て査定して欲しい、という連絡を受けて訪問する。
「何か処分するものありませんか」と電話でセールスをかけたり、ドアをノックする方法を取っていない。
だから、お伺いする前にどんなものがどのくらいの量があるかは把握しているのが通常である。
ただ、きものが数枚というご依頼で伺ったら、なんとタタミ一面きものだらけだったり、食器が100点ほどという内容はコーヒーカップもソーサーも1点と数えられていたり、お客様の言う数量の表現はマチマチである。
また、家具のお買い取りでお伺いしても、食器やきものの買い取りの方が多くなったりして予定時間をオーバーすることもある。
時には、電話ではお伺いしていなかったお品物が突然出てくることもある。
今回は和食器、洋食器など贈答品のお買い取り依頼だった。タタミいっぱいにひろげられたお品物の査定を終えて、折りコンテナに積み終えると量も事前に伺っていた通りワゴンほぼイッパイとなった。キレイに片付いた部屋の片隅に小さなダンボール箱が一つ残っている。
<ダンボールから取り出したカメラ一式>
「そうそう忘れていた、これもお願いしまーす」
と明るいお声がけが・・・・。
開けてみると、ライカ3台、アンティークカメラが2台、レンズ7本と「昔カメラ小僧」がドキッとするソウソウたる名機が雑然と入っている。
依頼人のお父上が若い時分、随分カメラに凝っていたらしい。
「記念に取っておかなくていいんですか?」
「だって私使えないし、それに修理しなければどうにもならないでしょう?
相当費用がかかかるって言われたし・・・」
動作確認に結構な時間がかかる。作動はするが、オーバーホール必須の状態であることは確かである。
小僧ながら気合を入れてお買い取り成立。
今から再調整にどれだけコストがかかるかわからないが、「昔カメラ小僧」は嬉しさ半分、心配半分、複雑な気分で名機一式を眺めている。
野坂