モノ語りヒト語り

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半年の厄落とし

東日本大地震から1年を経過してまだなお、明るい先が見えてこない。「安売り傾向が頭打ち」「高額商品に伸長の兆し」などの記事が流通関連の専門紙にのるものの、その実感にはほど遠い。

お買い取りで様々なご家庭を訪問していくと、「有るウチにはある、無いウチにはない」と当たり前のことだが実感する。その差は想像以上に広がりつつあり、下流から中流に這い上がるのは、絶望的という感すらする。

昔は「オレラ中流だもんね」と安心しあった共同体的な感覚はなくなってきている。スタッフによると、この数年で、モノの売れ方が両極端になってきているという。1万円以下のモノと10万以上のモノが売れ、中間の値付けの商品群がなかなか売れない。モノもまた、中間層がくずれてきていると言える。

時たま高価な貴金属やきものが売れるのだが、それは、まず顔なじみのお客様で、その購買層が厚くなっているとは感じられない。一方、少しづつ増えてきた安めの洋服や家具は、売却のスピードが速い。その引力に引っ張られて、品物の様相も少し変化して来ているのが、現状である。

というわけで、この半年の厄払いという願いを込めて「水無月(みなづき)」という、京菓子を作った。昔は献上品だったらしいが、関東ではなじみが無い。吉野の葛と上新粉で作った「ういろう」のような菓子である。△の形は氷をあらわし、小豆の赤色と共に魔よけの意味があるらしい。

「おいしいです」とスタッフは言ってくれたが、本音は「土台が厚過ぎて、モチモチし過ぎ」だったらしい。

だが、しっかりと6月30日に食したことに意味があるので、そこんとこよろしく。

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