モノ語りヒト語り

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湧水のごとし

7月20日(金)午後7時、首相官邸への反原発デモに参加した。

午後の豪雨がおさまって、小雨が時折り吹き下ろす霞が関近辺にはあちこちに白い風船を持った人々が、道路にたむろしたり、歩き回っていた。どこにも、いわゆるデモ行進の列はみられず、どこでデモがあるのかわからない。

風船を手渡している主催者らしい人に聞きながら歩いていく。今日は官邸前に行く道が封鎖されていて行けないとのこと。だからといって、警官に抗議するわけでもない。  交差点ごとにいる警官と案内係の人に誘導され、三々五々、人の群れが移動していく。警備もソフトで、「途中に段差があるのでお気を付け下さい」と警官がデモ隊によびかける。

絶え間ない人波は、車道にはみ出ることも無く整然としている。人の流れに従って歩いていると、それが既にデモ行進であった。国会議事堂前までたどり着くと、歩道いっぱいに風船を持った人の群れ、道路の反対側にも多くの人が集まり、抗議の演説をしている。終わったのがいつなのかも分からない不思議なデモ。

風船をもっていなければ、ごく普通のサラリーマンだったり、会社帰りのOLのグループ、家族連れが歩いているだけのことである。ときたま、交差点に陣取ったグループがハンドマイクで「原発やめろ、原発いらない」などと呼びかけると、周りの人々がそれに呼応する。エキセントリックでもなく、かと言って黙っているわけでもない。

霞が関官庁街は夜ともなれば、ほとんど人通りがないエリアである。その通りをごく普通の、親子連れや、会社員風の人たちが埋め尽くしている。60年、70年安保条約反対デモの風景とは全く異なるのだ。

小学低学年の女の子がマイクを持って「原発いらない」と声をあげ、経産省の玄関前では70過ぎのおばあさんが大飯原発を止めてほしいとマイクで呼びかける。日の丸を掲げた青年が原発やめろと叫ぶ。地域と世代をつらぬいている地鳴りのような響きである。

300人からスタートしたという首相官邸抗議デモは、主催者発表によると9万人が集まったという。各地から、そして、子供から年寄りまで、湧水のように集まってきているのだ。

反安保デモには無く、反原発デモにあること 。

→元首相の飛び入り参加、白い風船、一人一人が作った手造りのプラカード、日の丸の旗、バギーからお年寄りまで、音楽デモ、新聞が大きく取り扱わない、非暴力、親切な機動隊、そぞろ歩き・・・

反原発デモに無く、反安保デモにあったこと。

→ヘルメット、労働組合、学生、団体の旗、スクラム、シュプレヒコール、労働歌、揃いのノボリ、新聞が大きく取り扱う、催涙ガス、棍棒を振り回す機動隊、犠牲者・・・

二つに共通していること。

→国は耳を傾けない・・・・・・・・

湧水のごとし

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