モノ語りヒト語り

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文化安全法の制定を望む

皆さんもご存知の通り坂本龍一さんをはじめ、各界でPSE法(電気用品安全法)施行反対の署名運動が起きている。

関係者がこの法律のことを知ったのは今年2月初旬。2001年に国会を通過し、5年間の猶予期間があったと国は説明するが、骨董やリサイクル業界の誰もが知らなかったといって過言ではない。もしかして、国は時間切れを狙って周知をネグレクトしたのではないかと、疑いたくなるくらいである。

PSE法とは簡単にいうとPSEマークのない電化製品を業者が販売をすると罰せられるという法律である。(100万円以下の罰金または1年以下の懲役)

電化製品のみならず、オーディオ、電子楽器、ライト付の机、照明器具など、電源を必要とする品物は全て対象になる。国民の安全を守るためといわれているが、その必要性を裏付ける電気事故のデータも明らかにされていない。また、すでにPL法があってその安全に対する責任は明確になっている。資源を無駄にしないリサイクルが先進国でこそ必要とされている時代に逆行するといえる。

当店の在庫商品でいえばイギリスのアンティークキャビネットはトップにライトがあるから駄目、昭和初期のガラスペンダント、アンティークのホールクロック(電気式)、ガレの吊ライト、レトロのフロアスタンドもことごとく電源があるという理由だけで違法販売ということになる。単に冷蔵庫や洗濯機やテレビなどの電化製品のリサイクルが出来なくなるということだけではないのだ。

問題は今所有している人が、買い取り手を無くして処分せざるを得なくなってくるということである。まさに歴史の中で生み出されてきたモノ(アンティーク)、先人の技術でしか作ることが出来ず、それを使うことでしか味わうことが出来ない希少なモノ(楽器やオーディオや戦前のライト付きクリスタル商品)が次の時代に引き継がれていくことが出来なくなってしまうことにある。

「このままでは専門機器を支える中古機器販売、下取り市場も閉鎖せざるを得ない状況になってしまい、これからの日本の音楽と芸術文化の発展に大きな支障をきたすことになります。」(日本シンセサイザープログラマー教会JSPA・坂本龍一さんらを中心とした署名活動を展開していた)

この「音楽だけに留まらない大きな支障」は「後になっても取り返しがつかない」ことである。このような重要な法律が殆んど審議もされずひっそりと5年前に可決されていたことに、今の日本の危うさを感じるのは私だけだろうか。

当店では、PSE法施行前の処分販売は行いません。4月1日以降も商品展示は続行いたしますのでご理解のほどよろしくお願い致します。

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