モノ語りヒト語り

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行列のできる家具は・・・・・・

行列のできるラーメン屋さんがあると、思わず並んでしまうことがある。何十分も並んだ後に「それほどのものではなかった」と思い返すことが多い。

さて、当店に行列が出来るのは年に二度のセールの時くらいで、それもせいぜい四、五 人であるから可愛いものである。問題は、ある一つの商品に「これ欲しい」と商談中の行列が出来たときである。

革で編んだイタリー製のリラックスチェアが人気となった。「少し考えさせて」と「商談中」になる。しばらくすると、「これ欲しかったのに・・・キャンセルになったら買いたい」とキャンセル待ちが二件入る。こういうときは短い間に集中する。「倉庫から在庫の商品をお持ちしましょう」とはいかないのがこの商売の辛いところである。

だが、「商談中」の札が三枚重なって貼られた家具を見るスタッフの顔は余り明るくない。今までの経験から、こういう場合、後になってキャンセルが続くことが多かったのである。理由は良く分からない。判断を保留させる何らかの要因があるのか、あるいはとりあえず行列に並んでみたい、という軽いノリがあるのか・・・・・

そして、スタッフの危惧は当たった。しばらくして、一枚そして一枚と商談中の札ははがされていって、通常の商品となってしまったのである。

その後、お客様の目が「この商品は何か問題でもあったのかな」といっているように見えてくるのは、ひがみであろうが、しばらくお声が掛からなくなるのも確かである。

十日ほどして、若い女性が気に入ってくれた。早速、台車に乗せて配送したときの嬉しさはひとしおであった。まるで、結婚話が何度かうまくいかなくて、ようやく嫁に出すことになった父親の気分とでも言おうか。(少しオーバーだが)

年に数回は起きる「商談中行列」の出来る家具は、デザインもプライスも魅力的なのであろう。

行列は嬉しい。が、たった一枚の「ご売約済み」はもっと嬉しいというものである・・・・・・

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