モノ語りヒト語り

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前田家おそるべし!

兼六園の見学中ふと立ち寄った「成巽閣」の一室「群青の間」は、目を疑うようなマリンブルーの部屋でした。この色、なんとラピスラズリが原料なのだとか。

お隣の「書見の間」も強烈で、こちらは鮮やかな紫色。「日頭窓」と呼ばれる、釣鐘型に刳り抜かれた美しい窓や、全面に飾リ彫りのしてある床柱など、あらゆる細部が美し過ぎます。

「くらしのくら」スタッフも全員立ち止まり、「こ、この部屋って!」と絶句。この「成巽閣」、前田家十三代藩主が 自分のお母さんのために建てたものだということです。

それまでの私は、日本史オンチも災いし、前田家のイメージは「すっごいお金持ちでお茶とお菓子にはウルサイ人たち」、これがすべてでした。けれどもこの部屋を見たときから、「お茶目で新しもの好きでワイルド」という、この上なくカッコいいファミリーが新たに頭の中に住み着いてしまいました。

「旧来の価値観に全くとらわれずに、有り余るほどの富と特権を、美しいもの・楽しいものに惜しみなく注ぎ込んだ、正真正銘のセレブの一族、前田家おそるべし!です。

もしも私が、お金も時間も十分に与えられてどんな望みをかなえられる身分になったとしても こんなに自由なアイディアは出てきそうにありません…

その場所で確かに生きた人々の残り香にしばしウットリ、 つづいて自分の平凡さを思って軽くガックリ。そんな「群青の間」なのでした。

(文責h)

成巽閣『所見の間』はこちらでご覧いただけます。

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