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前期高齢者の不安

トラックに乗って仕事することが多いと、ラジオを良く聴く。先月、入学金未納の生徒を入学式に出席させなかった学校側の対応について、賛否の意見を聞く番組があった。

予想に反して80%のリスナーが「ルールに従うのが当然」「親に問題がある」と学校の対応を支持する結果となった。

10年前には考えられなかった冷たい人間関係が根を下ろしているように思う。これも、イラクでの日本人拉致問題で「自己責任」をやたら主張した国の思い通りの結果なのだろうか。

そんな折、「後期高齢者保険制度」である。

この制度は75歳になれば、一律に扶養関係を断ち切り、お年寄り本人に保険料を負担させるというものである。今までは、別世帯で生活することになっても、子供は親の扶養として労使折半の健康保険にともに加入し、そのために増える負担を軽減する扶養控除の制度もあった。しかし、この制度では、子供が親の面倒を見ることは出来ないのである。

収入の少ない場合は子供の扶養に入ることによって、親は健康保険の負担を負わなくてすんだ。あるいは親の保険を子供が負担することで、親子のキズナをお互いに認め合ってきた。このように扶養する、扶養されるというのは大事な人間関係である。いくら核家族化が進み、互いに離れて生活していても・・・・・・・

それを、75歳になったら親子であることは関係ない、「自己責任」で支払えとは、単なる財政健全化だけを考えている官僚の思考としか思えない。(国は保険収入増と扶養控除減額というダブルインカムとなるが、底辺にいる人々にとって最もしわ寄せがくる)

「ルール」と「自己責任」で家庭の親子や教師と生徒とのキズナを断ち切り、乾いた人間関係が充満していく契機を作っているのである。年金問題などでのルール違反や責任回避は棚に上げて・・・・

今75歳のお年寄りは敗戦時に13歳、85歳の人は23才であったことを思い起こすと、戦争をくぐりぬけた後、働きづくめで、今の日本を作ってきてくれた方々なのである。お年寄りを、国がもっと尊敬し、支えていくことが、家庭や学校をもっと潤いのあるものにしていくのではないかと思うのだが・・・・・。

お買取りと配送でご家庭にお伺いした件数は開店以来約20,000件となった。 定休日を除くと一日平均4回と少し、よそさまのお宅へお邪魔していることになる。

だが、三世帯家族にお邪魔することは殆どなくなってしまった。お年寄りの一人住まいは確実に増えてきている。お年寄りは一人で住むだけではすまされなくなってしまった。 そして、住まいだけではなく、社会的にも「独り」にしてしまうこの冷たさに、この国の未来はどうなるのか、考えてしまうのである。

いや、そんなおおげさなことではない。もう直ぐ仲間入りすることになる「前期高齢者」としては自分の将来が深刻に不安なのである。

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