街のかお
私たちの店のある商店街は駅から離れている。大きな住宅街の中の一つの交差点に寄り添うように小さな店が集まっている。長さで100メートルもない。商店街のスケールは、「くらしのくら」がオープンした7年前と殆ど変わらない。
ただ、ひとつひとつの店は相当変わってきた。見渡すと、7年前と同じ店のほうが少ないことに驚く。
ガソリンスタンド → 焼肉店
美容室 → 駐車場
焼肉店 → 酒のディスカウント店
喫茶店 → 閉店
ゲームセンター → 倉庫
焼き鳥店 → お好み焼き店
英国家具店 → 洋菓子店
お好み焼き店 → 閉店
セレクトショップ → クリーニング店
自然食品店 → 籐雑貨店
ペットショップ → 洋菓子店
美容室 → ラーメン店
古本店 → レンタルビデオ店
焼肉店 → 有機野菜店 → 中華料理店
中華料理店 → 花屋
写真引き伸ばし店 → 整体院
ブティック → ペットショップ
スナック → ペットショップ
学習塾 → 家具店
とんかつ店 → 閉店
フランス料理店 → 閉店
和菓子店 → カフェバー
寿司店 → ペットトリマー店
骨董店 → 閉店
銀行 → 閉店
クリーニング店 → 閉店
寿司店 → 閉店
たった7年のことなのに、前の店は何だったか思い出せないことがある。そう考えると街の風景というのは、常に小さく変貌して、昔の街とは相当変わっているに違いない。気づかないだけで。
「年だったもんねえ、カラダ無理きかなくなったって」という話は良く聞く。年とともに商売をたたむ人も多いのであろう。大きな資本力のある店に小が呑み込まれることや、商売が時代の流れに取り残されてしまった場合もあるであろう。店を閉じる話を聞くたびに、胸が痛む。他人事ではないのだ。
「くらしのくら」が続けていこうとするパワーは「この店へ来て何があるか楽しみなのよ」と言ってくださるお客様である。それと、「今月どう?もう店やめようかと思ったわよ」と、苦しい売り上げが続く時期にお互い愚痴を言い合い、ニッポンの先行きを占いながら肩をたたきあう異業種の先輩たちである。
駅前のにぎやかさは無いぶん、田舎町の情があるこの小さな商店街は「がんばろう」と思わせる静かな力を秘めているようにと思う。あと7年たつと、この深沢商店街はどんな街になるのであろうか、「楽しみである」とは言えない。戦いながら見届けていきたいものである。