現場からの経済
どの新聞を読んでも「不景気」の文字が躍っている昨今である。私たちの店にもそれは実態として押し寄せてきている。まず、お買い取りの件数が減ってきている、客単価も、売り上げの1点単価も下がってきている。株の暴落とともに、「株が下がって買い物もろくにできなくなってきたよ」とぼやくお客様が増えてきて、相槌を打つにも盛り上がらない。
「今度リフォームするので、家具など一式を買ってほしい」という依頼があった。高齢の女性で一人暮らしだという。予定の前日、店に電話があった。「ごめんなさいね。予定キャンセルしてくれる?頼んでいたリフォーム会社が倒産してしまって、全部駄目になってしまったの。リフォームもできなくなった上に、お金も・・・・」
私たちのような零細企業のみならず、大手のリサイクル業者や質屋さんも値段のはる品物の持ち込みはめっきり減ってきているらしい。家の立て替え、新築、移転などが冷え込めば、それに伴う買い替えも落ちてくるのは当然なことである。そのような環境の中で以前のレベルで仕事を持ちこたえていくには、どうすればいいのか、なかなか答えは見つからない。
今日、近くの医院で小家具の買い取りにお伺いした。顔見知りの先生に思わず愚痴をこぼす。
「先生の所はいいですよね、不況でも患者さんは来ますモンね」
「いや、違うんだよ。今、患者さんは医療費を節約して、本当に悪くなるまで我慢するんだ。病院に来たときはとんでもないことになっていたりして、こちらも大変なことになるんだよ」
いやはや、町を歩いている人(自分も)の暗い顔はいつごろになったらチェンジするのだろうか。