ちゃぶ台のある食卓
昔の丸い「ちゃぶ台」は人気がある。お買い取りがそれほどあるわけではないが、入るとすぐ売れる。関心を持つのは20代の若い人たちである。
私用で長旅をすることになった。車で7時間ほどの移動である。昼、サービスエリアで持参したおにぎり、ゆで玉子などの弁当を食べた。休日のせいか、子供づれの家族が多くにぎやかである。ふと、周りを見渡すと、おにぎりなどを食べているのはどうも自分たちだけのようである。少し前まではラップやアルミ箔で包んだおにぎりや手作りのサンドイッチをほおばっている家族は結構いたはずである。あらためて、満席のテーブルを見渡したが、おにぎり持参の人は一組もいない。昨今の弁当男子はどこに行ったのか?と思って外へ出ると、ベンチでおにぎりをほおばっている家族を見かけ、ほっとした。
弁当持参のドライブが見かけられなくなったのはどうしてなのだろう。外食を避けて内食がブームになっているというのは、一部に過ぎないのか。それとも不況は少しずつ脱却しているのか。どちらも得心がいかない。恐らく家で手間暇をかけて食事を作るという、ごく自然な習わしが衰退しているのではないか。食物の自給率のみならず、食事の自前率(じまえ)も下がっているようだ。この不景気が家庭のゆとり(時間)を奪っていることも一因であろう。戦後しばらくはどんなに貧しくても、家族揃って食事をするのが日本の風景であった。家族の単位は小さくなり、働く夫婦も増えた。もはや、ちゃぶ台が家の中心になる時代ではないのかもしれない。
できることなら「小さなちゃぶ台に一汁一采」の「貧しいながらも楽しい我が家」に戻りたいものだ。
追記。サービスエリアのメニューは独占的な商売であるにも関わらず、街の食堂より二、三割は高い。そんな割高な食事であっても、いつも込み合っている。デフレと言われていながら、高速道路のサービスエリア内レストランは値引きなど、どこ吹く風である。ちなみに、ドライブには欠かせないあのソフトクリームが安くて300円前後、最高ランク350円である。この利益が外郭団体にではなく、道路の維持費にまわるのであれば休憩ごとに、私は食べるのだが・・・・。