ネグレクトされる日本語
「アカハラで処分」という新聞の小さい見出しに立ち止った。アカハタの誤植か?新種の食中毒でもあったのか?記事を読むとアカデミックハラスメントの略で、大学などでのいやがらせのことらしいが、記事には何の説明もない。大胆な省略語である。「パワハラ」までは推測がついたが、「アカハラ」では意味を理解できない人がいるに違いない。無茶な省略語のみならず、母国語の放棄が最近は多くなってきているような気がする。
「児童虐待(ネグレクト)」ではなく「ネグレクト(児童虐待)」という見出しを大新聞社がつけるのである。日本語が翻訳なのだ。何年後かは大新聞社のこのような教育よろしく、「ネグレクト」は分かるが、「児童虐待」ってナーニという日本人が増えていくのだろうか。
新聞社だけではない、今や、大企業が社内公用語を英語にするという時代である。その社長が「言葉はツールでしかない」と言い放つ。侵略した国の言葉を、植民地化した国民に強要していったのはつい最近のことだというのに。
こんなエラソウナことを言う私たちも、先般の「大売り出し」(セール)では「10th Aniverssary」などと「雰囲気外来語」を振り回しているのだから、何をかいわんやなのだが・・・・・
店の中を見渡してみれば、スペシャルプライス、プライスダウン、アイテム、ディスプレイ、モダンデザイン、シンプルライフと「外来語カタカナ表現」のヤマである。
だが、未だに英語に変換されず頑張っている言葉もある。扇風機=「扇で風を起こす機械」など一瞬でモノを理解できる素晴らしい漢字である。その理解のスピードは英語ではありえない(と思う)。また、その漢字を見ただけで、その情景が浮かんでくる「水屋箪笥」などは、使われなくなったが美しい言葉の代表であろう。こんな日本語の表現力を「くらしのくら」はもっと大事にしていきたい。「リサハラ(リサイクル業界での嫌がらせ)」なんて記事が出てこないように。
でも一時期、ローマ字やカタカナを日本の公用語としようとしたお国なわけで、あと100年も経ったらどうなっていることやら・・・・・・・