店の七つの対策
当店の震災被害はワイングラス6点、陶器3点、漆器2点を破損しただけである。一番上に置いてあるものだけが被害にあった。完璧に掃除したと思っていても、数日後にガラスの破片があちこちで見つかるのが怖い。
大震災の後、当店でも様々な対応をとった。もし、陳列棚が倒れでもしたら、怪我をする可能性がある。
(1)全ての棚の補強、転倒防止装置の設置。倒れやすい花生けやグラス類はジェルで固定をした。ジェルは透明で、手で大豆大に丸め、下の部分に付けると簡単には倒れない。美術品の展示に使うが、万引き防止にも効果的である(その結果、3月19日(土)の震度5の余震では一つも倒れなかった)
地震発生時にどこへお客様とスタッフが避難すべきか。頭を守ろうにも机があるとは限らないので。
(2)一番安全と思われる場所、玄関口の一番大きい柱の傍へお客様を誘導することを確認する。避難場所は園芸高校。
(3)懐中電灯は何点もあったがほとんどが心細い明りしかとれない。電池を補充し、レジ前と事務所の目立つところに下げる。
(4)ろうそくは売るほどあるはずだったが、いざ探してみると意外に少ない。お洒落なキャンドルではあっという間に消えてしまうだろう。太めのろうそくを2本探し出す。だが、昨日停電していた世帯で、ろうそくを倒して火災発生、一人が亡くなっている。使い方が難しい。
(5)最近詰め替えたばかりの消火器を2本、目の付くところに置き換えた。また、交通機関が使えなかった場合、帰宅難民スタッフは最大4名になる。
(6)その場合は着物売り場の畳の部屋に臨泊することを決める。すでに、毛布、非常食、飲料水、カセットコンロ、非常トイレなどは準備してある・・・・・
「非常食などはきちんと準備してあるから心配ないよ・・・」と言ったものの、念のため台所の棚から取り出して確認してみた。水も、非常食のクラッカーもすでに消費期限を1年経過していた。
このまま取っておくわけにもいかず、早速消費することにした。消費期限も賞味期限も無かった時代は自分の目と鼻で確認していたのである。食感も、匂いも全然問題なくおいしい!と毒見の上、スタッフに宣言する。「そうですね」とスタッフは一枚は手にする。しかし、しっかり書かれた期限表示には威力があるのか、クラッカーはなかなか減らない。4缶全部一人で食べることになりそうである。ちなみにこのクラッカーは非常食だけあって腹もちが良い。
非常食もスーパーなどで探すのが難しくなってきている。これ以上店の棚を空にすることもない。
(7)多少の賞味期限切れでも構わない、我が家に眠っている缶詰を非常食として店に置くことにしよう。いつも通り食事が出来て、缶詰を用意しておくことが出来るということは幸せなことに違いないのだから・・・・・・・・・。