藤井旋風が吹けば碁盤が売れる
風が吹けば桶屋が儲かるというコトワザがある。大風で土ぼこりが立つと盲人が増える、そうすると三味線が売れる、三味線の猫皮が必要になり、猫が少なくなる、猫が減ってネズミが増える、ネズミが桶をかじる、桶の需要が増え桶屋が儲かる。
そんなことを思い出させることがあった。
若い女性が碁盤を欲しいがどれがいいのか、とのこと。厚み五寸六分の碁盤と蛤碁石のセット、二寸の卓上碁盤セットの二点を並べて、蛤碁石の特長や石の厚みによって値段が違ってくるなどの説明をした。初めてやってみるので安い方でいいかな、上達したらこっちを買いますと、卓上碁盤セットをお買い上げ頂いた。
「碁を始めたのはどうしてなのですか?」と聞いたところ
「藤井四段が29連勝したじゃない、それに刺激を受けたのよ」
「え?でも藤井さんは碁じゃなくて将棋じゃないですか」
「でも、将棋って難しそうじゃない? 碁の方が白黒だけだし、易しそうじゃない?」
「まあ、そうとも言えますね。でも凄い発想です。是非碁が上達したら将棋に挑戦してください」
今や藤井旋風のおかげで、将棋のゲームアプリが売れるのは勿論のこと、朝活として出勤前の将棋教室は盛況になり、将棋合コンがスタートするわ、将棋の映画が盛り上がるわ、ニッポン全国将棋フィーバーである。
私たちの店でもささやかフィバーがあったというご報告でございます。