「スターウォッチング」が「テレビウォッチング」になった二、三のイキサツ
老人ホーム?シニアホーム?に住んでいるお客様に椅子(スターウォッチングチェア)を届けに行った。
配達前にお客さんに
「これから椅子の配達でお伺いします」と電話すると
「水の配達??」
「ミズではなくイスです!座る椅子です!」
「あぁ、水の配達ね」
「いや、椅子です!」
この繰り返しを1分程し、なんとかミズではなく、お客様が購入した椅子だと理解してくれました。
お年を召した方だったので仕方ありませんね。
その後、
ホームのフロントでお客様が椅子を受け取るということで配達へ。
フロントのお姉さんが立会いの下、椅子の引き渡しを
することになりました。
「この椅子、不思議な形ですね、どういった椅子なんですか?」
とお姉さん。
「“スターウォッチングチェア”といって
背もたれが60度〜70度くらいありまして、
星を快適に見るために設計された椅子です」と私。
お姉さんはお客様に
「素敵ですね!ベランダに置くんですか?」
お客様は真顔で
「いや、これでテレビを見るんだ」
私とフロントのお姉さんでクスッと笑い
なんだかほんわかした空気になりました。
フロントでお客様ご自身が受け取る予定でしたが
重いので部屋まで運ぶことになりました。
ただ、コロナ感染防止のために入室する前に検温をする必要があり、おでこを出してピストル式の体温計で”ピッ”と検温。
すると、お姉さんは
「アレ?ちょっと待ってください!入れないかもしれません」と。
「えぇ!?」
と思わず声をだしてしまいました。
37度を超えていたそうです。
少し時間をおいて、次は脇に挟む体温計で挑戦したら
36.9度になりギリギリセーフということで入ることができました。
(多分玄関まで運ぶ間に、体が熱くなっていたと思われます)
4階にある部屋まで運び、テレビの前へ椅子を置きました。
なんと、お客様が奥様にサプライズのプレゼントとして購入したそうで、奥様はビックリして涙が出るくらい喜んでいました。
私も思わず感動し、嬉しくなってしまいました。
いざ、試しにと奥様が座ってみると
相当角度のある座面と背もたれに、お尻がすっぽりハマってしまい、立ち上がれなくなってしまったのです。
そこで私が背後から両脇に手を入れ、何とか立ち上がらせることができました。
それを見たお客様は椅子の座面にヨギボー(ビーズがたくさん入っている大きなクッション)をセットし、背もたれに毛布をグルグル巻きつけました。
顔が天にではなく、テレビに向かうようになるくらいに。
「これで大丈夫だろう」
と、お客様。
試しに座ってみると問題なし!
スターウォッチングチェアの意味が姿も形も全く無くなってしまったものの、かなり気に入ってくれた上に、奥様の感激ぶりとご主人の気配りに触れることができて、とてもうれしいことでした。
そんなクスッとくる幸せな配送現場のレポートです。
(文責 北原)