タイムスリップしてきた今右衛門
今右衛門の錦淵地紋菊形銘々皿(五枚揃い)のお買取りをした。
梱包の新聞は昭和56年、32年前に購入されたものだろうか。共箱などが無い場合は、この様な包み紙からその時代を推定できることがある。明治や江戸時代の通い帳で包んだあったりすると、その陶器より紙に値段がつくことがあるので、疎かには出来ない。
店に持ち帰って調べていると、美術本の中に全くおなじ銘々皿の写真が掲載されていたのを発見。これでこの皿は十二代今泉今右衛門の作であることがほぼ間違いないと言える。
十二代は人間国宝である十三代今右衛門の父親で38年前に死去している。果たして、共箱はやや焼けていいるが、この銘々皿は全くの無傷で今完成したと思えるほどの美品である。32年間、箱の中で眠り続けて来たのは間違いないようで、皿にしてみれば大いなるタイムスリップといえるかもしれない。
「ビックリすることないよ。今から陽の目をみせてあげるからね。風呂に入る必要もないから、すぐステージにあがろうな」