『ベルナール・カトランの「秋の桂離宮」リトグラフお買取りいたしました。』
いつも私の記事では食器ばかりとりあげておりますが、
めずらしく絵画に注目してみました。
とはいっても絵画はさっぱり分からず、
私のような方(あまりいらっしゃらないかもしれませんが)のために
まず、リトグラフとは。
簡単に説明すると、石(=リト)を用いた版画なのだそう。
そして他の版画とは、“平版”という名前で区別されるようです。
なぜなら
たとえば日本の浮世絵は、図柄どおりに木を彫って作った木版を使いますよね。
でも、リトグラフは彫りません。
石の上にインクを置いて、それを紙に押し当てていくイメージです。
彫らない平らなままの石版を用いるので平版なのだそう。
いろんな薬品を用いて絵を制作していくようですが、細かい部分を省いて説明するとこんな感じ。
秋の桂離宮というタイトルだけに、〈むら〉のある黄色が美しく、
味わいある静けさが伝わってくる作品です。
で、私がめずらしく絵画を取り上げたのは
実は他でもなく…モデルである桂離宮に興味があるからなのです。
かつてブルーノ・タウトによってその埋もれていた美しさを再発見された桂離宮。
離宮を造営した八条宮智仁親王は政治で表立つことはあまり無かったようですが
風流を大変に好み文化人として知られていました。
月が美しく観えるといわれるこの地で行われる茶会や酒宴、池での舟遊び
想像するだけでも貴族たちの優雅な暮らしぶりが伺えます。
簡素であるからこそ美しい離宮。そのなかに浮かぶ月はさぞ美しく映ったのでしょう。
その赴きある美しさに魅了され、カトラン以外にもベルナール・ビュッフェ、
国内では平山郁夫や東山魁夷など数多くの著名な芸術家たちが作品を残しています。
私はまだ行ったことはありませんが、
予約をすれば一般の見学も受けつけているようなので
是非一度訪れてみてはいかがでしょうか。
田渕